tunakorokkedayoのブログ

ミーのハー太郎

映画考

最近観た映画について。

多量のネタバレを含むのでブログで書きます。

 

●ニューヨーク 親切なロシア料理店

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まず邦タイトルがダサい。まあ英タイトルもダサいが。うわっだせえタイトルでほっこりさせようとしてくる映画だ!!やめぴ!!と思って予告編で見かけた時点で観るリストから外していたんだけど、結構信頼している映画好きのアカウントがいい映画だったと言っていたのを観て急遽観ることに。ガーデンシネマで上映してたし。私はガーデンシネマを応援しています!クラブスパイス会員だし、ガーデンシネマで映画を観るときは必ずエルダーフラワーのソーダも買ってたのに。。アンネリとオンネリシリーズも全部ガーデンシネマで観たのに。。なぜなくなってしまうの。。で、話が逸れてしまったが急遽観たこの映画、やっぱり全然合わなかった。

あらすじをざっと書くと、夫のDVに耐えかねた女性が子どもと一緒に家出して、でもスキルも身寄りもお金もないから即ホームレス状態になって、なんとか食べ物を盗んだりして飢えを凌ぐんだけどとうとう子どもが凍死しかけちゃって、困ってるところに超紳士なイケメンが良かったらうちに泊まりなよって手を差し伸べてくれて弁護士も紹介してくれて最後はくっつくっていうお話。ラスト30分で主人公たちも脇役たちも次々つがいになって大団円!の終わり方でなんか、、ジャンプの最終回?

主人公の女性が子どもを抱えているのになんの計画性も無く子どもを凍死させかけるところにイライラしたし、イケメンに助けてもらえたのが若くて美人で彼の好みだったから(彼女美人だな、とイケメンが弁護士に耳打ちされるシーンがある)っていうのもウワって思ったし最後にカップルが次々できるのも別にそんなにくっつかなくてもと思ったし全体的に2020年になにを見せられてるんだろう。。という感想を持ちました。女性が若さと美しさによって男性に見出されて親切にされる、みたいな話はもう観るだけ時間の無駄だなあ〜と感じた。シンデレラ?シンデレラって何百年前の話なんだっけ??

ケイレブランドリージョーンズはすごく良かったし、彼みたいな、世の中のスピードにうまく適応できなくて取りこぼされていってしまうような弱い立場の人が、最終的に救われるようなお話になっていたのは良かった。

 

●燃ゆる女の肖像

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私はレズビアン映画が苦手で、どこが苦手かというと暗くて重くてシリアスな作品が多いところ。

描かれる女の情念が単純計算で×2になるのが私にはキャパオーバーだし、セックスシーンがやたらぺちゃぺちゃした水音を拾うような音出しの演出されがちなのもムリ〜〜〜ッてなる。

から、Bunkamuraでパピチャを観たときの上映前予告編でこの映画を知った時も観るのはやめようと思っていたんだけど、あまりにも評判がいいから観てきた。流されやすい。ミーのハー太郎。

結論から言うと苦手だし好みではないけど伝わってくるものがたくさんあったし、かなり強い思想を感じた映画だった。

好きなのは、男性が意思や感情を持つものとして描かれておらず全くのモブとして扱われているところ。そもそも男性がほとんど登場せず、物語の冒頭で主人公が島へ行くときのボートを漕ぐ役と、最後に出来上がった肖像画を島から本土へ運ぶ役ぐらいしか出てこない。

この最後の運搬シーンは、ある朝主人公が食堂へ降りて行くと、テーブルに運搬役の男性がついていて朝食をとっているという場面なんだけど、今まで女性しか登場してこなかったのに突然男性が現れるから違和感がすごくて、男性=異物という演出、鑑賞者がパッと夢から醒めたような気持ちになる演出がわかりやすく感じられて好きだった。

あと下女のソフィの堕胎シーン。かなり危険で不衛生な工程を踏んで堕胎しないといけないんだけどそのひとつひとつを文句も言わず、淡々と当たり前のことかのように行っていて、妊娠と出産に伴う女だけが背負う肉体ダメージ、何百年も前からずっと女たちがそうしてきた手技について映画を観ながら想いを馳せてしまった。もちろんそこでも彼女を孕ませたはずの男すら登場しない。

1番最後の演奏会での長回しもかなり魅せ場!!!という感じで良かった。長回しで俳優の表情が静かなところからゆっくりと変わっていって最後に大きな感情を表出させるシーンて定番だけど凄みがあって、観る方も気合いが入る。来るぞくるぞ!!はいでたー!!ってならない?ああいうシーン。

歌舞伎でいうとキメポーズのところみたいな。

 

映画を観て思ったところを細かくシーン別に話し出すとまとまらず止まらないし疲れるからもうこれくらいにします。

年の瀬に語るところの多い作品を観られて良かったなと思います、たとえクソ映画でも語れる部分があれば無駄にはならない。