『あのこは貴族』考
あのこは貴族を観たので気づいたこと、思ったことを。
ネタバレ100%なので、気になる人は読まないでくださいね。
まず相関図。
これネットの拾い画なんだけど誰の作った画像か分からなくてすみません、、ご指摘があればクレジットつけますor消します。
○バッグ
・華子が冒頭で椿山荘に参上したときのバッグはわからず。
おお!と思ったのは離婚歴のある美容皮膚科医の麻由子が持っていたのがブルガリのセルペンティだったこと。
これね。玄人の浪費家っぽさが伺えます。美容皮膚っぽーい。
・華子がお出かけするときに使っていたのがエルメスのバーキンやシャネルのマトラッセという、「お母さんのお下がり」もしくはお母さんに借りてきたやつっぽいところも印象的でした。セルペンティの姉と比べて、自分で何も選んでいない感。
ネイリストさんから男性を紹介してもらうときに着ていたジャケット、あれもシャネルなのかなあ。
幸一郎と別れて、仕事を始めた後の華子はブランド不明のなんなら合皮っぽいバッグを持ってましたね。
・美紀と里英の慶応の入学式のシーン、里英がコーチのバッグを持っていた。あれは埼玉もしくは東京の外部の子だったらマイケルコースを選ぶような気がする。
大人になって、会社を立ち上げようと奮闘する里英がなんのバッグを持っていたかは分からなかったなあ。
大人になった美紀はカルティエのバッグを持っていたね。
美紀の部屋を見る限り堅実そうだし、皮のつやが綺麗だったから、あれはもしかしたらビンテージのものという設定かもなと思った(中古だと2-3万で買える)。水商売のお客さんに買ってもらうにしてもカルティエのバッグというチョイスはないと思う。
脱線するけど山下リオが演じるざっくりおおらかな美人お姉さん大好き。「朝が来る」での好演を思い出した。
○洋服
・華子の洋服は最先端のお洒落な格好というよりは定番品を組み合わせた、可愛らしい、悪く言えばこださい服装。
生まれた時から東京の一等地に住んでいるような人ってトレンドを追い求めた派手な格好しないよね。あれはなんでだろう。ゴシップガールの世界観ではないんだよねえ。
幸一郎と初めて会う時は「カジュアルな服装で」ということでセントジェームスのボーダーカットソーにバーキンにフルトンの傘。
美紀と初めて会うときにはヴァンクリの小さいフリヴォルにマトラッセを合わせていた。ここで小さいフリヴォルを選ぶのが華子らしいと思った。私なんかは性根が田舎者だからどうせつけるならブーケみたいに盛り盛りのフリヴォルが欲しくなってしまう。
↑小さいフリヴォル
↑盛り盛りのフリヴォル
・初めはフルトンの傘にタクシーでデートに向かっていた華子が、美紀のアパート(おそらく内幸町から新橋らへん)から銀座を通って勝どきらへんの自宅マンションへ歩いて帰るところはかなり映画っぽい演出だなと思った。
あと、新橋から銀座、東銀座を通って勝どき方面に至るコースを歩いたことがある人なら共感してもらえると思うんだけど夜のあのコースってかなり『東京』っぽいんだよね。銀座の交差点、ライトアップされた歌舞伎座、湾岸の景色、、みたいな。美紀のアパートで、ずっと東京にいたのにこんな景色初めてみた、と東京タワーを見ながらつぶやいていた華子にとってはそれも楽しかったろうと思う。
フルトンつながりで、レイニーデイインニューヨークでティモシーシャラメ演じるお坊ちゃんがそういえばフルトンの傘持ってたよな、と思いだして、うーん特権階級アイテムの傘!と思った。今までフルトンの傘をあまり可愛いと思っていなかったんだけど少し欲しくなっちゃった。
・最後のカルテットの演奏者のひとりの方がmameのワンピースを着ていたね!
これね。俺は同じの持ってるからわかるんだ。
○映画を観ながら思い出したこと
・お父さんが開業医、東京の中心地生まれ中心地育ちの友達が、ご自分の出身校が学費を下げたことに関して「ああやだやだ。よその子が入ってくるじゃない。へんな人がいないところがいいところだったのに」と心底うんざりしたように言っていたこと。
・昔付き合っていた人が(この人は神奈川の高級住宅地の出身だったが)、家族とお姉さんの交際相手を交えてみんなで食事に行ったときに、その交際相手がカトラリーを落として自分で拾ったとかで「本当に恥ずかしくて嫌だった。フレンチだよ?ありえない」と嫌悪感を示していたことを、美紀と華子の邂逅シーンで、落としたカトラリーを咄嗟に拾おうとした美紀と、手をあげてウェイターを呼んだ華子を見て思い出した。
・神田の居酒屋のジョッキビール、幸一郎とのデートで表参道のレストランのグラスビール、女ふたりで会社を立ち上げると決めた時のカフェでのビール、様々なビールの描かれ方も映画っぽい演出だった。
・大学の同級生の男の子が、
いや、もう2000字だし風呂でこれ書いてるんだけどのぼせそうだから一旦ここで切りますね。
キーアイテムを書き出しただけでこの長さになってしまった。また気づいたこと、思い出したことがあったら追記します。本も読み返そう。
Twitterで、「花束みたいな恋をした」みたいな固有名詞ゴリゴリ出てくる作品がめちゃくちゃ好きなのはアラサーで、今の若い子たちは固有名詞別にそんなに好きじゃないらしい。というのを見かけたけど、本当かよ?単にアラサーに比べて知ってる商品の絶対数が少ないから楽しめないだけでは?と思う。地の文で背景の説明ができない映像作品において、登場人物に個性を持たせるためには「その人がなにを選ぶか」ってことが大事な要素なんじゃないかなと思う。私はそうやって持ち物や趣味から登場人物の内面を推しはかるのが好き。
そういえば私が「あのこは貴族」を読んだきっかけって、Twitterで初めて会ったお友達が、「あのこは貴族」みたいな子かと思ってた!と言ってくれたからなんだよね。私自身はそんなエスタブリッシュメント階級では全くないんだけど、中高女子校、大学はそこそこお金のかかる私立だったので、この映画で描かれているような「貴族」の子達の顔は映画を観ながらぼんやり思い浮かぶ。よければ皆さんもそういうエピソードや気づいたことがあったら教えてください。